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【Column】自分の身体と向き合うブログ

2026-10-22 19:52:00

痛みがなくなった=治った、ではない?再発を防ぐために大切な身体の回復

ジュニアスポーツ、ケガ予防の取り組み

 

「痛みがなくなったから、もう大丈夫」

 

そう思ったことはありませんか?

 

腰痛や膝の痛み、肩の痛み、スポーツによるケガなど、痛みが出ていた場所が気にならなくなると、つい普段どおりに動きたくなるものです。

 

実際に、痛みがなくなることは回復に向けた大切な変化です。

 

しかし、痛みがなくなったことと、身体が完全に回復したことは、必ずしも同じではありません。

 

痛みがなくなっても、筋力や柔軟性が十分に戻っていなかったり、身体の使い方に問題が残っていたりすることがあります。

 

その状態で以前と同じ生活や運動を再開すると、再び痛みが出てしまうこともあります。

 

この記事では、痛みがなくなることと身体が回復することの違い、痛みを繰り返さないために大切な考え方について解説します。

 

 

1.痛みがなくなったのに、なぜ再び痛くなるのか?

 

痛みがなくなったあとに、同じ場所が再び痛くなった経験はありませんか?

 

例えば、次のようなケースです。

 

  • 腰痛が落ち着いたので、以前と同じように重い物を持ったら再び痛くなった
  • 膝の痛みがなくなったので、ランニングを再開したら痛みが戻った
  • 野球の投球時に肩が痛かったが、数日休んだら痛みがなくなり、練習を再開すると再び痛くなった
  • 足首の捻挫後、歩けるようになったのでサッカーに復帰したが、切り返し動作で不安を感じる

 

これらに共通しているのは、痛みが落ち着いていても、身体が以前と同じ負荷に耐えられる状態まで回復していなかった可能性があることです。

 

痛みは、身体の状態を知るための重要な情報です。しかし、痛みの強さだけで、組織の回復具合や運動への準備が整っているかどうかを判断することはできません。

 

痛みがなくなったからといって、筋力、関節の動き、バランス、持久力などがすべて元に戻っているとは限らないのです。

 

 

2.痛みがなくなることと、身体が回復することの違い

 

身体の回復を考えるときには、痛みの有無だけでなく、いくつかの視点から状態を確認することが大切です。

 

 

① 痛みが落ち着いている

 

まずは、日常生活や運動中に感じていた痛みが軽減している状態です。

 

炎症や組織への負担が落ち着いたり、痛みを感じる仕組みの変化によって、症状が軽減したりすることがあります。

 

これは回復に向けた大切な変化ですが、痛みがなくなっただけでは、損傷した組織が十分に修復されているかどうかまでは判断できません。

 

 

② 関節の動きや柔軟性が回復している

 

痛みがあると、無意識に身体をかばうようになります。

 

その結果、関節を十分に動かさなくなったり、特定の筋肉が硬くなったり、身体の動きに偏りが生じたりすることがあります。

 

痛みがなくなったあとも、関節の動く範囲が狭い、左右で動きが違う、特定の動作が苦手といった問題が残る場合があります。

 

痛みがない状態で、必要な動作を無理なく行えるかどうかも確認したいポイントです。

 

 

③ 筋力や身体を支える能力が回復している

 

ケガや痛みによって活動量が減ると、筋力や持久力が低下することがあります。

 

例えば、足首の捻挫でしばらく運動を休んでいた場合、歩くときの痛みがなくなっても、片足で身体を支える力や、着地時の安定性が十分に戻っていないことがあります。

 

日常生活では問題がなくても、ジャンプやダッシュ、急な方向転換など、大きな負荷がかかる動作では不安定さが表れることがあります。

 

 

④ 身体を適切に使えるようになっている

 

痛みが出た背景には、ケガそのものだけでなく、身体の使い方や運動量、休養不足などが関係している場合もあります。

 

例えば、野球で投球時に肩や肘の痛みが出た場合、肩や肘だけでなく、胸郭や肩甲骨の動き、体幹、下半身の使い方、投球量なども確認する必要があります。

 

ただし、痛みの原因は一つとは限らず、身体の使い方だけで説明できるわけでもありません。

 

大切なのは、痛みがなくなったことだけで終わらせず、必要に応じて身体全体の状態や動作を確認することです。

 

 

3.痛みを感じなくても、身体には問題が残っていることがある

 

痛みは、身体の状態を知るための手がかりですが、身体の状態をすべて教えてくれるわけではありません。

 

例えば、痛みが出ていたときには、ある動作をすると痛みが出ていたとします。

 

その動作を避けたり、活動量を減らしたりすることで、痛みが落ち着くことがあります。

 

しかし、痛みが出るきっかけとなった負荷への耐性や、動作上の課題が十分に改善していなければ、以前と同じ活動をしたときに再び症状が出る可能性があります。

 

一方で、痛みが残っているからといって、必ずしも組織が治っていないとも限りません。組織の回復が進んでいても、痛みがしばらく続く場合もあります。

 

つまり、痛みの有無だけで「治った」「治っていない」と決めつけるのではなく、症状の経過や身体の機能、必要に応じて医療機関での評価などを組み合わせて判断することが重要です。

 

 

4.スポーツでは、痛みがなくなってからが大切

 

スポーツをしている方、特に成長期の子どもたちには、痛みがなくなったあとの過ごし方にも注意が必要です。

 

練習中に痛みが出ても、数日休むと症状が落ち着くことがあります。

 

そのため、「もう痛くないから練習に参加したい」「試合が近いから早く復帰したい」と考える選手も少なくありません。

 

しかし、痛みがなくなったことだけを理由に、いきなり以前と同じ練習量や強度に戻すのは避けたいところです。

 

例えば、サッカーでは、歩行や軽いジョギングが問題なくできても、ダッシュ、急停止、切り返し、ジャンプ、相手との接触などで大きな負荷がかかります。

 

野球でも、日常生活で肩や肘が痛くなくても、全力投球を繰り返すと症状が再び出ることがあります。

 

そのため、スポーツ復帰では、競技に必要な動作や負荷に段階的に対応できるかを確認することが大切です。

 

具体的には、次のような点を確認します。

  • 日常生活で痛みや不自由さがないか
  • 関節の動きが必要な範囲まで回復しているか
  • 必要な筋力やバランスが戻っているか
  • ジャンプ、着地、ダッシュなどの動作が適切に行えるか
  • 練習量を段階的に増やしても症状が悪化しないか
  • 翌日以降に痛みや腫れなどが現れないか

 

これらを確認しながら、身体の状態に合わせて復帰を進めていきます。

 

もちろん、ケガの種類や程度によって必要な確認事項は異なります。骨や靱帯などの損傷が疑われる場合には、医療機関での診断や復帰に関する指示を優先する必要があります。

 

 

5.痛みを繰り返さないために必要なこと

 

では、痛みがなくなったあと、何をすればよいのでしょうか。

 

大切なのは、痛みを抑えることだけを目標にするのではなく、日常生活やスポーツに必要な身体の機能を取り戻していくことです。

 

 

① 痛みが出た原因や背景を振り返る

 

まずは、何をしたときに痛みが出たのかを振り返ってみましょう。

 

運動量が急に増えていなかったか、休養が不足していなかったか、同じ動作を繰り返していなかったかなど、症状が出るまでの経過を確認します。

 

ただし、痛みの原因を自己判断で決めつけるのは禁物です。症状が続く場合や、強い痛みがある場合は、医療機関で適切な評価を受けましょう。

 

 

② 身体の状態を確認する

 

痛みが出ていた部分だけでなく、関節の動き、筋力、バランス、動作などを必要に応じて確認します。

 

例えば、膝の痛みが落ち着いた場合でも、片足で立つ、しゃがむ、階段を上り下りするといった動作で、不安定さや左右差がないかを確認することが役立つ場合があります。

 

すべての人に同じ確認が必要なわけではありません。痛みの種類や程度、生活や競技で求められる動きに合わせて評価することが大切です。

 

 

③ 身体の機能を少しずつ取り戻す

 

必要に応じて、関節の可動域を改善する運動、筋力トレーニング、バランス練習、動作練習などを取り入れます。

 

痛みが出ない範囲でできることから始め、身体の反応を確認しながら少しずつ負荷を高めていきます。

 

ここで大切なのは、ストレッチだけ、筋力トレーニングだけといった一つの方法にこだわらないことです。

 

必要な取り組みは、痛みの原因や身体の状態によって異なります。

 

 

④ 元の生活や運動に段階的に戻す

 

痛みがなくなったからといって、すぐに以前と同じ活動量に戻す必要はありません。

 

休んでいた期間やケガの程度に応じて、活動量や運動強度を調整していきましょう。

 

運動中だけでなく、運動後や翌日の状態も確認しながら進めることが大切です。

 

症状が再び出たり、腫れや動かしにくさが現れたりした場合には、負荷を見直し、必要に応じて医療機関に相談しましょう。

 

 

6.治療の目的は、痛みを取ることだけではありません

 

私たちが身体のケアを考えるうえで、大切にしたいことがあります。

 

それは、痛みを軽減することだけでなく、痛みが落ち着いたあとに、できるだけ安心して日常生活やスポーツを続けられる状態を目指すことです。

 

鍼灸や手技による施術などは、症状や状態に応じて、痛みの軽減や身体の動かしやすさの改善を目的に活用されます。

 

しかし、施術を受けて痛みがなくなったとしても、それだけですべての問題が解決したとは限りません。

 

必要に応じて、身体の状態を確認し、運動やセルフケアを取り入れ、再び負荷をかけられる身体を目指していくことが大切です。

 

また、日頃から自分の身体の状態を知り、痛みが出たときには無理をせず、必要な対応を取れるようになることも重要です。

 

特に成長期の子どもたちには、痛みを我慢して練習を続けることだけでなく、自分の身体の変化に気づき、適切に休み、相談する力を身につけてほしいと考えています。

 

 

まとめ|痛みがなくなったことを、回復のゴールにしない

 

痛みがなくなることは、回復に向けた大切な一歩です。

 

しかし、痛みの軽減と、組織の修復や身体の機能の回復は、必ずしも一致するものではありません。

 

痛みがなくなったあとも、必要に応じて関節の動き、筋力、バランス、動作などを確認し、日常生活やスポーツに必要な機能を取り戻していくことが大切です。

 

そして、痛みを繰り返さないためには、身体の状態に合わせて活動量を調整し、自分の身体を理解していくことも欠かせません。

 

「痛みがなくなったから終わり」ではなく、「安心して動ける身体を取り戻すこと」を目指していきましょう。

 

痛みが続く場合や、繰り返し同じ場所が痛くなる場合は、自己判断で運動を続けず、医療機関などの専門家に相談してください。