野球の競技特性とケガ(スポーツ傷害)
野球の競技特性
攻撃と守備の2チームによる得点の競い合いを行うゲームです。ほとんどの球技では攻撃側がボールを持ってることが多いですが、野球では守備側がボールをもって得点を奪われないようにする、珍しいスポーツです。得点は、攻撃側のバッターがランナーとして出塁しホームベースに戻ってくると、ランナー1人毎に一点追加されます。「走攻守そろった選手」と言われるように、野球では『走る、捕る、打つ、投げる』といった多くの技能が必要とされます。また、左右不均等な動き、反復動作により、疲労が特定の部分にたまりやすいため、スポーツ傷害(ケガ)の起きやすい競技とも言えます。
競技年齢は幅広く、幼少期から大人、シニア世代まで参加でき、日本国内では昔から人気のあるスポーツとして知られています。しかし、バットやグローブなどの道具が必要なこと、キャッチボールができる場所がない、他の競技への分散、指導の問題(暴力など)などにより近年の野球人口は急速に減少しています。その歯止めをかけるため、国内トップ選手による、球場設営や、野球環境の問題点を指摘する動きがあります。
野球で起こるケガ
肩の痛み
いわゆる野球肩と言われる状態になり、肩に痛みが起こる状態です。肩の痛みには、インナーマッスル、骨、筋肉などが由来の場合があり、症状が進行するとより難治になります。成長期のお子様や肩に違和感がある場合などは積極的に投球の中止が必要です。
肘の痛み
野球肘と言われる状態です。肘の内側、外側、後ろ側の3か所に痛みが出ることがあります。主な症状は投球時の痛みですが、進行すると肘関節が完全に伸び切らなくなる状態にもなります。適切な治療で競技復帰は可能ですが、痛めた原因を特定することが大切です。
腰痛
野球選手に多く見られる腰痛。ヘルニアやすべり症の発症もすることがあるので、体の使い方を中心に体幹のトレーニングで腰痛予防に努める必要があります。腹囲が大きい、反り腰なども腰痛の要因になるので、指導者も注意が必要である。
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打撲
デッドボールや選手同士の接触で起こります。強い衝撃のことが多いので、内出血などにもなります。捕球機能が未熟な場合は、顔面部にボールが当たることがしばしばある。
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捻挫
特に足首や手首の捻挫が起こります。走行中に足を捻る場面や、守備の時にグローブが地面に引っ掛かり手首の捻挫、ひどいと骨折までなることもあります。
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脳震盪
頭への強い衝撃で起こります。野球では動きの中で頭を打ってしまうことがあります。またヘルメットを着用していても頭部へのデッドボールの衝撃で脳震盪にもなり得ます。頭部への衝撃があった場合は、速やかに状態を確認し、すぐに病院受診を第一選択としてお考えください。
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心臓震盪
胸部への衝撃で起こります。ボールを胸で止めることでの発症が目立ちます。体でボールを止めろという指導は長年言われてきましたが、捕球についての指導の見直しなどによりリスクが下げられます。
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骨折
外部からの骨への衝撃で正常位置から逸脱した状態や、亀裂が入った状態などになります。また、栄養状態が悪い場合などは、疲労骨折になる可能性もあります。
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こむら返り
強く持続的な筋肉の収縮が起こる状態です。主にフクラハギなどの足に発症することが多く、暑い季節、寒い季節でも起こりえます。熱中症の一つの症状にも挙げられているので注意深く観察することが必要です。
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肉離れ
筋肉が急に伸ばされるような状態になるとリスクが高まります。特に下半身や腹部に発生することがあります。走塁時などに発症することがあるので注意が必要です。
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